この記事では、MedUnityの運営の一人である、あきらが「地域全体に貢献できる歯科医療」を目指すようになったきっかけについてお話しします。
歯科医師を志した原点
私が歯科医師を志したのは、器用な手を活かして、口蓋裂や口腔がんなど大きな病気で悩む方々を助けたいと思ったことがきっかけでした。しかし、入学後に知ったのは、そうした難病の治療は歯科医師だけでは完結せず、多職種との連携が不可欠であるという現実でした。この気づきは私の視野を大きく広げ、「口腔」だけでなく全身を診る総合的な視点が必要だと考えるようになったのです。
地域医療との出会い
その後、地域医療系の学生団体に参加する機会を得ました。そこでは病院の枠を超えて地域全体の健康を考える医療者と出会い、医療は単なる治療行為ではなく患者さんの生活を支える営みであることを学びました。さらに訪問診療に同行した経験は、私の考えを確信へと変えました。
例えば「唾が止まらない」と訴える患者さんは、入れ歯の不具合ではなく嚥下障害による誤嚥性肺炎の手前でした。末期がんの患者さんのご家族は「食べさせたい」と願っていましたが、実際には胆管閉塞があり、高カロリー食はかえって負担になる状況でした。歯科知識だけでは見落としてしまう現実に直面し、歯科医師にも全身管理の視点が必要であることを痛感しました。
総合診療歯科医という目標
こうした経験を経て、私は「総合診療歯科医」という新しい歯科医師像を目指すようになりました。訪問歯科診療はその実践の場です。誤嚥性肺炎を防ぐ口腔ケア、全身疾患を抱える方の安全な抜歯、服薬管理への配慮など、歯科は全身の健康と密接に関わっています。医師や看護師、理学療法士、介護士など多職種と協力し、生活全体に寄り添う医療を実現したいと考えています。
MedUnityと共に描く未来
MedUnityは、医療系学生が職種や大学の垣根を越えて学び合える場であり、私が大切にしたい価値観と重なります。SNSやブログの運営を通じ、ネットメディアの可能性を感じてきました。「何か始めたい医療系学生の第一歩を後押しする」というミッションに、自らの経験を活かして貢献したいと思っています。
将来は総合病院の歯科口腔外科で全身管理を学び、訪問診療を重ねた上で、地域に根ざした診療所を開業し、老人ホームの経営にも挑戦することが夢です。
「口の中だけを診る」を超えて、地域全体の健康に貢献できる歯科医療のあり方を、これからも探求していきます。